建設業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
その中の一つが、「社会保険への適切な加入」です。
建設業許可というと、経営業務の管理体制、営業所技術者、財産的基礎、誠実性、欠格要件などに目が向きやすいですが、現在は社会保険への適切な加入も重要な許可要件の一つです。
社会保険という言葉はよく聞くものの、
「法人なら必ず社会保険に入らなければならないのか」
「個人事業主の場合はどうなるのか」
「従業員がいない場合でも必要なのか」
「建設国保に入っている場合はどう扱われるのか」
「雇用保険は誰を雇ったら必要になるのか」
「未加入だと建設業許可は取れないのか」
このような疑問をお持ちの建設業者様も多いと思います。
この記事では、建設業許可の主な要件の一つである「社会保険への適切な加入」について、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の基本的な考え方、法人と個人事業主の違い、建設国保に加入している場合の注意点、適用除外となる場合などをわかりやすく解説します。
建設業許可では社会保険への適切な加入が確認されます
建設業許可では、適用除外に該当する事業所を除き、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、各所管行政庁に届け出をしていることが求められます。
つまり、社会保険は「できれば入っておいた方がよい」というものではなく、加入義務がある事業者にとっては、建設業許可を取得・更新するための重要な要件です。
建設業許可の申請前には、経営体制や技術者要件だけでなく、自社の社会保険の加入状況も確認しておく必要があります。
ただし、すべての事業者が必ず健康保険・厚生年金保険・雇用保険のすべてに加入しなければならない、という単純なものではありません。
法人か個人事業主か、従業員がいるか、従業員の人数、雇用形態、建設国保等への加入状況などによって、必要な加入内容が変わります。
建設業許可で確認される社会保険の種類
建設業許可で主に確認される社会保険は、次の3つです。
・健康保険
・厚生年金保険
・雇用保険
健康保険と厚生年金保険は、主に年金事務所が関係します。
雇用保険は、労働基準監督署や公共職業安定所、いわゆるハローワークが関係します。
建設業許可の申請では、加入義務がある事業所について、これらの保険に適切に加入しているか、または適用除外に該当するかを確認します。
そのため、単に「社会保険に入っているか」だけではなく、
・健康保険はどうなっているか
・厚生年金保険はどうなっているか
・雇用保険はどうなっているか
・適用除外に該当するものはあるか
・建設国保に加入している場合の扱いはどうか
を分けて確認することが大切です。
法人の場合の社会保険
法人の場合は、原則として、健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。
社長1人だけの会社であっても、法人であれば、健康保険・厚生年金保険の加入対象になることがあります。
そのため、法人で建設業許可を申請する場合は、まず健康保険・厚生年金保険の加入状況を確認する必要があります。
また、従業員を雇用している場合には、雇用保険の加入も問題になります。
労働者を1人以上雇用している事業主は、原則として雇用保険の適用事業になります。
したがって、法人で従業員を雇っている建設業者様は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つについて確認する必要があります。
一方で、役員のみの会社で、雇用保険の対象となる労働者がいない場合には、雇用保険については適用除外となることがあります。
法人だからといって、雇用保険まで必ず加入しているとは限りません。
実際に労働者を雇用しているかどうかを確認することが重要です。
個人事業主の場合の社会保険
個人事業主の場合は、法人とは扱いが異なります。
健康保険・厚生年金保険については、常時使用する従業員の人数などによって、加入義務が変わります。
一般的には、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所では、健康保険・厚生年金保険の加入が問題になります。
一方で、従業員が5人未満の個人事業所や、事業主本人だけで事業を行っている場合などは、健康保険・厚生年金保険の適用除外となる場合があります。
ただし、個人事業主であっても、労働者を雇用している場合には、雇用保険の加入が必要になることがあります。
「個人事業主だから社会保険は関係ない」と考えてしまうのは危険です。
個人事業主でも、従業員の人数や雇用実態によって、加入義務があるかどうかを確認する必要があります。
雇用保険が必要になる場合
雇用保険は、労働者を雇用している場合に確認が必要になる保険です。
建設業では、現場作業員、職人、事務員などを雇用している場合があります。
労働者を1人以上雇用している場合には、雇用保険の加入が必要になることがあります。
ただし、役員だけの会社、事業主本人のみの個人事業、請負契約で働く一人親方など、雇用関係がない場合には、雇用保険の扱いが異なることがあります。
大切なのは、名称だけで判断しないことです。
「外注」として扱っていても、実態として労働者に近い働き方をしている場合には、雇用保険や労働保険の確認が必要になることがあります。
反対に、役員のみで労働者を雇用していない場合には、雇用保険について適用除外となる場合があります。
雇用契約なのか、請負契約なのか、実態に合わせて整理しておくことが重要です。
建設国保に加入している場合の注意点
建設業では、協会けんぽではなく、建設国保や土建国保などに加入している方もいます。
建設国保等に加入している場合でも、直ちに建設業許可で問題になるわけではありません。
ただし、法人事業所や常時5人以上の従業員を使用する個人事業所など、本来は健康保険の適用事業所に該当する場合には、年金事務所長の健康保険被保険者適用除外承認を受けているかどうかが問題になることがあります。
また、建設国保等に加入していても、厚生年金保険まで不要になるわけではありません。
健康保険について適用除外の承認を受けている場合でも、厚生年金保険については加入が必要になるケースがあります。
そのため、
「建設国保に入っているから社会保険はすべて問題ない」
と単純に判断するのは危険です。
建設国保に加入している場合は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険それぞれについて、許可申請上どのように確認するかを整理する必要があります。
適用除外とは
建設業許可の社会保険加入要件では、「適用除外」の場合があります。
適用除外とは、その事業所や人について、そもそもその保険に加入する義務がない、または一定の承認により加入対象から外れる場合をいいます。
たとえば、次のようなケースでは、適用除外の確認が必要になることがあります。
・従業員がいないため、雇用保険の対象となる労働者がいない
・個人事業主で、常時使用する従業員が5人未満である
・建設国保等に加入し、健康保険の適用除外承認を受けている
・役員のみで、雇用保険の対象となる労働者がいない
ただし、「適用除外」といえるかどうかは、個別の状況により確認が必要です。
自己判断で「うちは対象外だろう」と考えるのではなく、法人・個人の別、従業員数、雇用実態、加入している保険の種類を確認することが大切です。
一人親方の場合の注意点
建設業では、一人親方として働いている方も多くいます。
一人親方の場合、従業員を雇用していないのであれば、雇用保険の対象となる労働者がいないことがあります。
また、個人事業主本人については、通常の健康保険・厚生年金保険とは異なり、国民健康保険や国民年金に加入しているケースも多いです。
ただし、一人親方といっても、実態として特定の会社の指揮命令を受けて働いている場合や、労働者に近い働き方をしている場合には、契約形態の確認が必要になることがあります。
また、建設業許可を取得する場合には、社会保険の加入状況だけでなく、経営業務の管理体制、営業所技術者、財産的基礎など、他の要件も確認する必要があります。
一人親方として建設業許可を検討する場合は、現在の働き方や事業形態を整理したうえで確認することが大切です。
社会保険未加入だと建設業許可はどうなるか
適切な社会保険に加入していない場合、建設業許可を取得できないことがあります。
群馬県の建設業許可申請のしおりでも、適切な社会保険に加入していない場合は許可を行うことができないとされています。
これは新規申請だけでなく、更新申請でも問題になります。
すでに許可を持っている事業者様であっても、更新時に社会保険の加入状況を確認されます。
未加入のままでは更新ができない可能性があるため、更新期限が近づいてから慌てるのではなく、早めに加入状況を確認しておくことが大切です。
また、社会保険の加入手続きは、すぐに完了しない場合もあります。
建設業許可の申請を考えている場合は、申請直前ではなく、早い段階で社会保険の状況を確認しておくことをおすすめします。
申請時に確認される資料
建設業許可申請では、社会保険の加入状況を確認するための資料が必要になります。
具体的にどの資料を提出するかは、申請先や事業所の状況によって異なりますが、たとえば次のような資料が関係します。
・健康保険・厚生年金保険の適用事業所関係の書類
・社会保険料の納入に関する資料
・雇用保険の適用事業所番号が確認できる資料
・労働保険概算・確定保険料申告書
・保険料の領収済通知書
・健康保険被保険者適用除外承認に関する資料
・建設国保等の加入証明書類
また、常勤役員等や営業所技術者の常勤性を確認する資料として、社会保険関係の書類が関係することもあります。
群馬県では、健康保険被保険者証の取扱い変更に伴い、常勤性確認資料として、社会保険の被保険者標準報酬決定通知書の写し等が案内されています。
以前の資料や古い説明を見ていると、現在の取扱いと異なる場合がありますので、申請前には最新のしおりや申請先の案内を確認することが大切です。
常勤役員等・営業所技術者の確認にも関係します
社会保険は、単に加入要件として確認されるだけではありません。
建設業許可では、常勤役員等や営業所技術者が本当に常勤しているかを確認する場面があります。
その際、社会保険関係の資料が常勤性を確認する資料として使われることがあります。
たとえば、法人の役員や従業員が健康保険・厚生年金保険に加入しているか、標準報酬決定通知書に記載されているかなどが確認資料になることがあります。
常勤役員等や営業所技術者の要件と、社会保険の加入状況は、別々の要件でありながら、実務上は関係してくる部分があります。
そのため、社会保険の加入状況を整えることは、許可要件全体の確認にもつながります。
常勤役員等の要件については、経営業務の管理体制の記事でも詳しく解説しています。
営業所技術者の常勤性については、営業所技術者の記事も参考にしてください。
よくある誤解
社会保険への適切な加入については、次のような誤解がよくあります。
・建設国保に入っていれば厚生年金も不要だと思っていた
・社長1人の法人だから社会保険は不要だと思っていた
・個人事業主だから雇用保険は関係ないと思っていた
・従業員ではなく外注扱いだから確認不要だと思っていた
・許可を取ってから社会保険に入ればよいと思っていた
・更新時には社会保険の確認はされないと思っていた
・健康保険証のコピーを出せば常勤性確認は足りると思っていた
これらは、申請時につまずきやすいポイントです。
社会保険の加入義務は、会社の形態、従業員数、雇用実態、加入している保険の種類によって変わります。
不安がある場合は、申請前に整理しておくことをおすすめします。
社会保険の手続きは専門家との連携が必要になることがあります
行政書士は、建設業許可申請の書類作成や申請手続きをサポートできます。
一方で、社会保険や労働保険そのものの加入手続き、雇用保険の手続き、労務管理の相談などは、社会保険労務士の専門分野です。
そのため、社会保険の加入手続きが必要な場合や、労務管理の確認が必要な場合には、社会保険労務士と連携して進めることがあります。
行政書士おおうち事務所では、建設業許可の申請に必要な範囲を整理し、必要に応じて他の専門家と連携しながら手続きを進めます。
「社会保険に加入しているつもりだが、建設業許可の要件として大丈夫か確認したい」
「建設国保の場合の扱いを確認したい」
「従業員を雇ったので、許可申請前に何を整えるべきか相談したい」
このような場合は、早めにご相談ください。
社会保険加入でよくあるご相談
行政書士おおうち事務所では、建設業許可の社会保険加入について、次のようなご相談をいただくことがあります。
・法人設立後、建設業許可を申請する前に社会保険を確認したい
・社長1人の会社でも加入が必要か確認したい
・個人事業主として申請する場合の扱いを知りたい
・従業員を雇っているが、雇用保険の確認が不安
・建設国保に加入している場合の必要書類を知りたい
・更新申請前に社会保険の加入状況を確認したい
・営業所技術者や常勤役員等の常勤性資料について相談したい
・社会保険労務士に相談すべき内容かどうか知りたい
社会保険への適切な加入は、建設業許可の可否に関わる重要な要件です。
申請直前になってから確認すると、手続きに時間がかかる場合があります。
建設業許可を検討している場合は、早めに現在の加入状況を確認しておくことが大切です。
太田市周辺で建設業許可の社会保険加入についてお困りの方へ
行政書士おおうち事務所では、群馬県太田市を中心に、桐生市、みどり市、栃木県足利市周辺の建設業者様から、建設業許可に関するご相談をお受けしています。
建設業許可の新規申請、更新申請、業種追加、各種変更届、決算変更届、経営事項審査、入札参加資格申請など、建設業許可に関連する手続きをサポートしています。
社会保険への適切な加入については、法人か個人事業主か、従業員がいるか、建設国保に加入しているか、雇用保険の対象者がいるかなどによって確認内容が変わります。
「自社の社会保険加入状況で建設業許可を申請できるか知りたい」
「更新前に社会保険の確認をしておきたい」
「営業所技術者や常勤役員等の資料もあわせて確認したい」
「社会保険労務士と連携が必要か相談したい」
このような場合は、お気軽にご相談ください。
行政書士おおうち事務所が、現在の状況を丁寧にお聞きし、必要な手続きや確認事項をご案内いたします。
建設業許可申請について詳しく知りたい方は、建設業許可申請のページもご確認ください。
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